国立国会図書館「入手困難資料の個人送信」への対応
国立国会図書館(NDL: National Diet Library)は「入手困難資料の個人送信」を2022年5月から開始しした。[解説]
「入手困難」のNDLとしての判定は、主にBooks.or.jpで行われます。
この「電子復刻」で書棚に眠っている書籍を甦らせ、「入手困難」でなくすことにより、出版社と著者に対価が支払われます。
※対象は、国会図書館がデジタル化した資料で、漫画・絵本・商業出版の雑誌を除く、入手困難な資料です。
※Books.or.jpには絶版本も含まれていますが、ISBNで紐付く販売サイトがあれば、入手可能書籍となります。
■NDL 事前・事後除外手続
毎年7月に、翌年に送信を開始する送信候補資料のリストを公開し、事前除外申出を7月から11月まで受け付け」て、12月に送信資料が決定されます。2025年までに1969年から2000年までの入手困難資料がデジタル化され追加される予定です。
詳細は NDL図書館向けデジタル化資料送信サービス(図書館送信)に係る除外手続
■デジタル復刻書籍のBooks登録
丸善イーブックライブラリ(MeL)、紀伊國屋書店KinoDenなどで販売されている書籍でも、Books.or.jpに登録されていない古い書籍が「入手困難」とみなされ、「無償での個人送信」が行われるものがある可能性があります。
※e-hon、Amazon PODなども入手困難の判断基準となります。
【JPROをお使いの方:ログインと情報登録】
https://jpro2.jpo.or.jp/からログインし、基本書籍情報、電子書籍などの新刊登録、登録済み情報の修正が行えます。
エクセルでアップロードする方法もあります。
【JPRO登録の情報の掲出先(配信先)】
(1) 取次・図書館・書店などに配信(Books/BooksPROへの掲出を含む)
(2) JPROが運営する書店員・図書館員向けサイトBooksPROに掲出
(3) JPROが運営する一般読者向け本の総合カタログサイトBooksに掲出
【JPRO新規登録:情報提供者の定義・資格】
(1) JPO(日本図書コード管理センター)から出版者記号を取得し、その義務を果たしていること
(2) 「出版情報登録料課金承諾書」「利用申込書」を提出していること
【JPRO登録料】
(1) 書籍・ムックなど(キーコード:ISBNコード):新刊・既刊の新規登録ごとに1,000円
(2) 定期雑誌・増刊(キーコード:JANコード):雑誌コードごとに5,000円
(3) 電子書籍(キーコード:JP-eコード or ISBNコード)
・底本ISBNに紐付く登録(最初の1点):200円
・JPROに登録された底本ISBNがない電子書籍(2号出版権設定):200円
【JPRO登録料の徴収方法】(請求主体はJPO)
(1) 通常は、取次会社等に請求・集金業務を委託
(2) 取次との取引のない出版者には、JPO(又は代行会社)から請求し、出版者が郵便振替で直接支払う
■JPRO登録と「絶版等資料」
【絶版等資料の例】
(1)「絶版等資料」になる場合の例:紙の書籍が絶版で、電子出版もされていない場合
(2)「絶版等資料」ならない場合の例:紙の書籍が絶版だが、電子出版がされてる場合
【絶版等資料を配信する国立国会図書館の「絶版等資料」の考え方】
(1)「絶版」あくまで例示、現に「一般に入手することが困難」といえるかどうか
(2) 膨大な出版物があり、照合方法は限られる。Booksのデータとの照合が考えられる方法の一つ
(3) 電子書籍が登録されていれば、底本は入手困難な「絶版等資料」ではない(JPRO/Books新企画説明会 村瀬弁護士)
※ISBNが付される前の書籍の電子化で、元の本にISBNがなく、電子書籍のISBNで登録したものは、Booksに掲出されない可能性があり、今後、JPROがこのような電子書籍をどうBooksに掲出するか、また、この場合の元本(底本)が「絶版等資料ではない」と見做されるかどうかは、電子書籍と底本の照合方法も含め、検討が必要です。